今年で31回目となる「ていね夏あかり」。
子どもたちを中心として作られた、色鮮やかなたくさんのちょうちんが灯され幻想的な風景が印象的なイベントで、夏の風物詩として地域に根付いています。
今回は、そんな「ていね夏あかり」の歴史について振り返るとともに、実行委員長 濱谷教授(北海道科学大学)の想いをお聞きしました。
ていね夏あかりの始まりは450個のちょうちんから
ていね夏あかりの始まりは、1992年に、北海道工業大学(現 北海道科学大学)の学生たちが、手稲区民祭りの会場で手作りちょうちん450個を展示点灯したことから。
当時はなんと、1保育園と1児童会館だけが参加していたそう。
その後、徐々に参加団体が増え続け、現在では手稲区内すべての小学校16校と、児童会館、幼稚園、老人ホームなどが参加していおり、約6000個のちょうちんが灯されます。まさに自然と地域に根付いていったイベントといえますね。
現在は、手稲区と北海道科学大学、地域住民の協業による実行委員会方式で開催しています。会場は、第28回までてっぽく・ひろばで行われ、昨年から北海道科学大学となりました。
「30年以上も続いているイベントなので、当時小学生だった方が今はお母さんになって、その子どもたちがまた参加している姿を見ると嬉しいですね。手稲の新たな文化が育ってきているということを実感します」濱谷教授は語ります。
制作は、科学大生と子どもたちの交流の場
ちょうちんの制作の中心は手稲区の小学生。
毎年、7月上旬に北海道科学大学の学生が作り方を指導しに行きます。
「大学生と子どもたちの交流は、双方にとって貴重な体験になっていると思います」と濱谷教授。
制作の過程もお祭りのひとつ。地域のつながりを作る場としても重要な時間です。
↑科学大生が小学校に訪問している様子
昨年からは、「夏あかりサポーター制度」も開始。
「実行委員会だけでなくて地域住民の方々にも協力いただくことで、”自分たちで作る地域のお祭り“になればと思っています。今後は、中高生にも関わってもらえたら嬉しいですね。」
様々な賞を受賞
「ていね夏あかり」は、1997年に「札幌市都市景観賞」特別賞、2007年には「北のまちづくり賞」知事賞を受賞、そして2008年には国土交通大臣より「まちづくり功労者」として表彰されました。
その風景の美しさや、地域の交流・地域文化育成が評価されてきたのです。
数々の賞を受賞してきた「ていね夏あかり」。手稲区民として誇らしいですね。
2022年は3年ぶりの有観客開催
2019年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となり、昨年は節目となる30回目でもあったのでなんとか開催しようと、無観客での開催を実現し、YouTubeで生配信を行いました。
そして、2022年は、感染症対策を講じた上で3年ぶりの有観客開催。有観客としては初の北海道科学大学で行われます。
屋台やヨサコイなどはありませんが、5000個以上のちょうちんの灯る様子を生で見られるのは嬉しいですね。
「浴衣姿の子どもたちが親御さんやおじいちゃんおばあちゃんと一緒に参加している様子を見るのがとても好きです。点灯が終わり、親御さんに外してもらって持って帰るシーンが、なんだか味わい深くて良いんですよね。」
温かい光景が目に浮かびます。
「このイベントを通して、ふるさとを愛する気持ちが生まれてくれたら、と願っています」濱谷教授はそう熱く語ります。
↑インタビューに答えてくださった、実行委員長の濱谷教授。
地域の住民によって作られる地域のお祭り。
これからもずっと大事にしていきたい手稲の文化だと改めて感じました。